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温暖化被害と適応評価のための応用一般均衡世界モデル --- EMEDA ---
2010年7月31日公開
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概要
 
世界モデルEMEDAは、日本国内の温暖化被害の経済的影響をとらえるだけではなく、温暖化が世界に与えた被害が貿易を通して日本に与える間接被害をも評価できる応用一般均衡モデルである。それにさきだって、被害関数を組み込む前のベースモデルの設計と実装上の問題を記述するのが本稿の目的である。EMEDAの特徴としては、第一に、グローバルデータとしてGTAP7を用いることである。これによってバランスのとれた世界経済データを用意に利用できる。しかし、もう一方で、データの持っている誤差等の問題やデータの修正が難しいという短所も抱えることになる。第二に、モデルには被害関数を組み込むことが主目的であるから、ベースモデルはできるだけコンパクトなものにし、モデルの振る舞いをとらえやすくするとともに、計算負荷を軽減する。被害関数を現実的なものとするためには、必要な部門分割を行う必要があり、それによる規模の増大を相殺するために、ベースモデルの段階で不必要な構造を刈り取る必要がある。