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2017年7月13日:公開

ロボットの転倒と転倒回避に関する基本問題とその解、およびシミュレーション

鷲田豊明
上智大学地球環境学研究科
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概要

人は柔軟な関節を持っている。この関節を動かしたり止めたりしながらしなやかな体の動き を作っている。関節のしなやかさは、人間の肉体の持つ冗長性、ないしはレジリエンス(復元性) の根本を作っているものである。関節が硬い人は、怪我をしやすいとか言われるだろう。柔軟体 操をしたりして、人は関節を柔らかくしようとする。一方、ロボットは、硬くて、頑丈で、精密 な関節だ。確かに、関節は動く。しかし、そこに冗長性はあまりない。だから倒れたら壊れてし まう場合が多い。小さいロボットならば、転んでも構わないだろうが、少し大きくなるとそんな 余裕はない。もちろん、ロボットに倒れない仕組みは組み込めるだろう。が、必要なのは、倒れ ても大丈夫な、人のような柔軟性を持った体の仕組みをロボットにも組み込むことである。その ために、まず、ロボットが倒れる、倒れない、倒さない基礎的(ファンダメンタル)な条件を求 めてみた。 理論的な考察においては、時間を考慮せず分析できる方法で、転倒の臨界角を求め、さらに 運動方程式を確定して時間を入れたダイナミックな解を求めた。さらに、数値シミュレーション を実施した。